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Dallmeyer (Kinematograph) 2 inch f1.5

Lens Data

Lens Unit

Lens Photo

製造:1930年ごろ
レンズ構成:3群4枚 ペッツバール型
(推定)

Lens Impression

英国Dallmeyerダルマイヤー(ダルメイヤー)社の超希少レンズ。
同社の2インチf1.5というスペックのレンズにはいくつかの種類があります。

もっとも有名なのは、現在中古市場で最も市場価格が高価なレンズの一つである「Septacセプタック」ですが、このレンズでさえ2019年時点ではほとんど実物を目にする機会はなくなってしまいました。さらにレアなのがレンズ構成がHugo Meyer社のKino Plasmatと同じと言われる「Speed Anastigmat 2in f1.5」で1インチは市場に登場しますが、以前はよく見られた3インチもほとんど姿を消し、2インチに至ってはほとんど幻と言ってよいくらい珍しい存在になってしまいました。

そしてさらに数が少ないと思われるのが、今回のレンズ、ペッツバール構成の2インチf1.5の「撮影用」レンズです。ペッツバール型の2インチレンズはシネマ映写用にはよく製造されたスペックなので、それをライカマウントなどに改造して販売している(元値の割には結構高価?)ケースは時折見られますが、撮影用に製造されたものはほとんど存在しないと考えられます。

今回のレンズはレンズ前面に筆記体のDallmeyerのロゴが刻印された同社の初期のデザインで、後年の活字体のものと比較してもその非常に美しい佇まいが素晴らしいと思います。レンズ名は刻印されておりませんが、レンズ構成から同種のKinematograph 2in f1.9に倣って仮に名付けています。
同社のKinematographはシネマ用の多様なレンズを総括する名称と、個別のレンズ名としての名称の2つが使い分けられています。広い意味では、「Pentac」「Dallon」「Super Six」「Speed Anastigmat」などもシネマ用に用意されたものはKinematographとカタログに記載されていますし、一方でレンズ鏡胴に個別名として刻印されたレンズもあるので、ちょっとわかりにくくなっています。


Kinematographレンズは1910年代から製造されていますが、当初は50mmという短い焦点距離のものはなく、3インチ(75mm)からのラインアップでした。その後2インチf1.9が登場しましたが、このf1.5はそれと前後して少量生産されたもののように思われます。

描写はペッツバール型の画角をほぼいっぱいに使ったと思われるもので、周辺の像面湾曲と非点収差の影響が顕著です。一方で、中央部分のピント精度は非常に高く、背景をうまく構成すれば非常に立体感の強い画像が得られるものと思われます。す。

Photos with Dallmeyer (Kinematograph) 2in f1.5
Comment
2019
Meiji shrine
(明治神宮、代々木)
年末の明治神宮ではすでに年始初詣に向けた準備が着々と進められていました。混んではいませんでしたが、お参りするには結構並ぶことになりました。見たところ日本人よりも外国人の方が目立つくらいの比率です。
神社は寺院よりも装飾が少なく、レンズの試写をするのには適しませんが、そこはまあ無理やり、、、。
希少なダルマイヤーのレンズの描写は見ての通りです。収差を楽しむという気概がなければとっても使えないかもしれません。